これまで7回、広報研修会をやってきたけれど、今年はなんとか斬新な企画はないだろうか。そこで登場したのが「みんなでメディアトレーディング」。企業、自治体、学校関係などからの受講生に模擬記者会見に参加してもらい、当事者側と記者側とに分かれてせめぎ合ってもらい、お互いの問題意識を深めていこうというわけだ。
まずはシナリオ1で、前夜の送別会での飲酒で二日酔いとなって車を運転、小学校児童5人の列にぶつかり、重軽傷を負わせた事故をテーマとした。
会社側、記者側それぞれに7、8人が向かい合う形をとった。
まず会社側の全員が立って3秒間頭を下げ、陳謝。これはどこの記者会見でも見受けられるシーンから始まった。「重大な事故を起こし、ご迷惑をおかけしたことにお詫びしたい」と会社側代表。とたんに記者役側から「飲み会では深夜まで飲まれたそうですね。しかも家に帰っても飲んでいる。飲酒運転で逮捕されるのは当然ではないか」と厳しい突っ込みがあった。
まずまずのスタートである。事故を起こした当事者は逮捕され取り調べ中ということで、この場での追及は企業の社会的責任に絞られていく。会社側からは「ふだんの社員に対する監督責任を一層強めていきたい」との姿勢が出てきた。
シナリオ2では某高校で不正アクセスによって、生徒の成績や個人情報が外部に流失した事件をテーマにした。こちらも学校側、記者側にも同じ7、8人ずつが並んで向かい合った。日常的に情報システムの管理がうまくいっておらず、今後は情報のセキュリティ対策を強化したいとの発言が出てきた。また父兄会を開いて学校側の手落ちをお詫びしたい旨の気持ちも述べられた。
記者会見のやり方そのものには巧拙はあろう。記者の追及はもっと厳しくするべきだったとか、会社、学校側は慎重さがどうであったかなど。いずれにせよ、主催者の九州情報リエゾンとしてももっと入念な対策をするべきではなかったかなど、探せばきりがない。ただ、今回初めて実施したメディアトレーニングを磨きをかけて今後に生かしたい。それが広報研修を質的にも上向かせる方法だと感じている。 ( O )