福岡独禁法研究会

Fukuoka Antitrust Law Study Group

今なぜ福岡で独禁法研究会

研鑽重ねる福岡独禁法研究会
談合問題から巨大プラットフォーマー対応まで
地域銀行・バスの合併等特例法 九州案件が発端に

九州に拠点を置く主要企業の法務担当幹部による独占禁止法と関連法令に関する勉強会「福岡独禁法研究会」が続けられている。これまで談合事件が時たまニュースになるくらいで、地方では関心が薄かった独占禁止法と関連法令を九州の企業がなぜ勉強することになったのか。一つは、国際的な競争法重視の流れを受けて公正取引委員会の活動が積極化し、対象事案も拡大しており、九州を拠点としながらも、国内外のマーケットで事業を展開するうえで、独占禁止法への理解が欠かせないとの認識が高まったこと。さらにもう一つは、ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行の統合計画を公正取引委員会が2年半にわたって審査、全国的に注目され、熊本のバス事業者の共同経営による苦境脱却策がクローズアップされ、地域銀行・バスの合併等を認める独占禁止法特例法制定につながり、九州の企業にとって独占禁止法は他人ごとではなくなったことだろう。
九州情報リエゾンは、こうした認識を持つ経済界幹部が、九州の主要企業に独禁法研究会の設立を提唱したことを支援、事務局を務めることになった。
規約で研究会の目的は「独禁法の正しい理解と遵守を目指し、研修の場とする」とし、名称は参加を見込む企業の本社が福岡にあることから「福岡独禁法研究会」とした。
アドバイザーに、公正取引委員会九州事務所所長、独禁法関連の講座を持つ福岡地区の大学の教授・准教授、独禁法案件に取り組む弁護士に就任を依頼。会の運営に公取委九州事務所の協力をお願いした。
会員は九州を代表する10社となり、2019年2月に発足した。以来、2カ月に1回、定例の研究会を開催してきたが、コロナ感染拡大による延期の時期もあり、2022年末まで20回の会合となっている。
テーマは、独禁法の基礎、補完法である下請法、よく話題となる景表法と進み、不当廉売、課徴金減免制度の実務解説と独禁法運用の核心に迫った。さらに、GAFAを中心とする巨大プラットフォーマーに対する国際的な規制の動き、アジアにおける競争政策など進出企業の関心に応えるもの、知財法との関連など多岐にわたっている。

福岡独禁法研究会アドバイザー

〇公正取引委員会事務総局九州事務所長
垣内 晋治

〇福岡大学法学部教授
屋宮 憲夫

〇西南学院大学経済学部准教授
加藤 浩

〇筑波大学ビジネスサイエンス系准教授
平山賢太郎
(九州大学法学研究院非常勤講師)

〇西村あさひ法律事務所福岡事務所弁護士
尾崎 恒康

福岡独禁法研究会会員企業業種

〇エネルギー関連
〇運輸関連
〇建設工事関連
〇金融関連
〇食品関連
〇窯業関連

これまでの研究テーマ

第1回(2019年2月15日)

▶講演テーマ
「いまなぜ独禁法か」

▶講師
九州大学法学部准教授
平山賢太郎氏

▶解説テーマ
「公取は何を考えているのか」

▶講師
公正取引委員会九州事務所長 菱沼功氏

第2回(2019年4月12日)

▶講義テーマ
シリーズ「独禁法を読み解く」その1
4つの規制とそのルール(1)不当な取引制限(2)私的独占

▶講師
福岡大学法学部教授
屋宮憲夫氏

▶論稿説明
「ビッグデータ濫用に対する独禁法による規制についての一試論」「補完しあう独禁法と知的財産法」

▶説明
九州大学法学部准教授
平山賢太郎氏

第3回(2019年6月14日)

▶講義テーマ
シリーズ「独禁法を読み解く」その2
4つの規制とそのルール(3)企業結合(4)不公正な取引方法
補完法――下請法、消費税転嫁対策特別措置法

▶講師
長崎大学経済学部准教授
井畑陽平氏

▶レクチャー
「景表法概要」

▶説明
公正取引委員会九州事務所取引課取引方法調査官
牟田名月氏

第4回(2019年9月23日)

▶講義テーマ
「課徴金減免制度とカルテル等発覚時の対応」

▶講師
西村あさひ法律事務所福岡事務所弁護士
尾崎恒康氏

▶報告
最近の報道にみる独禁法関連の動きとその注目点

▶担当
事務局

第5回(2019年10月18日)

▶講義テーマ
シリーズ「独禁法を読み解く」その2続き
4つの規制とそのルール(4)不公正な取引方法(競争者の取引妨害から)

▶講師
長崎大学経済学部准教授
井畑陽平氏

▶卓話
高宮雄介弁護士

第6回(2019年12月13日)

▶講義テーマ
「不当廉売につて」

▶講師
西南学院大学経済学部准教授
加藤浩氏

▶トピックス
プラットフォーマーと独禁法をめぐるトピックス

▶コメント
九州大学法学部准教授
平山賢太郎氏

第7回(2020年2月14日)

▶講義テーマ
「プラットフォームビジネスにおける独禁法の規制」

▶講師
山口大学経済学部専任講師
渕川和彦氏

第8回(2020年7月10日)

▶講義テーマ
「景表法をめぐる諸問題について」

▶講師
公正取引委員会九州事務所取引課長
上田充宏氏

第9回(2020年9月11日)

▶講義テーマ
「下請け法違反事例と最近の動き」

▶講師
公正取引委員会九州事務所下請課長
渡邉啓一氏
▶補論テーマ
「最近の独禁法違反事件の処理状況と公正取引委員会の動き」

▶講師
公正取引委員会九州事務所長
堀内悟氏

第10回(2020年11月13日)

▶講義テーマ
「新型コロナと独禁法」

▶講師
九州大学法学部准教授
平山賢太郎氏

▶案内テーマ
「12月25日施行の改正独禁法について」

▶説明
公正取引委員会九州事務所

第11回(2021年3月12日)

▶講義テーマ
「改正独占禁止法」の新制度解説
①調査協力減算制度
②判別手続

▶講師
公正取引委員会経済取引局企画室室長
山本大輔氏

第12回(2021年6月11日)

▶講義テーマ
「実務に活かす 独占禁止法の基本」
①談合・カルテル
②自由競争と独禁法
③独禁法違反の会社・役員へのダメージ

▶講師
九州大学法学部准教授
平山賢太郎氏

第13回(2021年10月14日)

▶講義テーマ
「知的財産と独禁法」
①公正取引委員会の知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針
②中小企業庁の知的財産取引に関するガイドライン
③最近のトピックス

▶講師
TMI総合法律事務所弁護士
山本智子氏、松村達紀氏

第14回(2021年11月12日)

▶講義テーマ
「確約制度の運用状況について」

▶講師
公正取引委員会審査局審査企画官
十川雅彦氏

第15回(2022年1月21日)

▶講義テーマ
「独禁法特例法と公共交通を核とした地域の持続可能性について」

▶講師
九州大学法学院教授(行政学)
嶋田暁文氏

▶コメント
「独禁法特例法施行から1年、地方バスへの運用状況を中心に」

▶講師
九州大学法学院准教授
平山賢太郎氏

第16回(2022年3月18日)

▶講義テーマ
「公正取引委員会の最近の活動状況について」

▶講師
公正取引委員会九州事務所長
堀内悟氏

第17回(2022年5月13日)

▶講義テーマ
「最近の企業結合事例について」

▶講師
公正取引委員会経済取引局企業結合課長
岩下生知氏

第18回(2022年7月15日)

▶講義テーマ
「SDGsと独占禁止法」

▶講師
九州大学法学院准教授
平山賢太郎氏

▶報告と説明
「令和3年度九州地区の独禁法運用状況」
「令和4年度中小事業者等取引公正化アクションプランについて」

▶担当
公正取引委員会九州事務所長
垣内晋治氏

第19回(2022年9月9日)

▶講義テーマ
「アジアにおける競争政策の動向」

▶講師
公正取引委員会官房国際課長
稲熊克紀氏

第20回(2022年11月16日)

▶講義テーマ
「デジタル時代の競争を考える」前編

▶講師
長崎大学経済学部教授
井畑陽平氏

第21回(2023年2月7日)
▶講義テーマ
「デジタル時代の競争を考える」後編

▶講師
長崎大学経済学部教授
井畑陽平氏

第22回(2023年4月13日)
▶講義テーマ
「独禁法違反行為の抑止と早期発見の取組み
 ~内部通報制度の活性化の視点も踏まえて」

▶講師
西村あさひ法律事務所弁護士
尾崎恒康氏

第23回(2023年8月1日)
▶講義テーマ
①「令和4年度九州事務所の活動状況」
②「優越的地位濫用規制と下請法(最近の事例紹介)」

▶講師
①公正取引委員会九州事務所長
垣内晋治氏
②公正取引委員会九州事務所総務管理官
(元優越的地位濫用事件タスクフォース上席審査専門官)
大泉智彦氏

第24回(2023年9月12日)
▶講義テーマ
「ステマ規制を踏まえた再認識~景品表示法の基礎(不当表示の規制)~」

▶講師
プロアクト法律事務所弁護士
榊山彩子氏

▶コメント
「インボイス制度と独禁法」

▶講師
平山法律事務所代表(九州大学法学部講師、筑波大学ビジネスサイエンス系准教授)
平山賢太郎氏

第25回(2023年12月19日)

▶講義テーマ
「あなたの会社は大丈夫ですか?公取委による
独禁法適用の急拡大―九州で相次ぐ摘発」

▶講師
平山法律事務所代表弁護士 筑波大学ビジネスサイエンス系准教授
九州大学法学部非常勤講師 平山賢太郎氏

第26回(2024年2月16日)
▶講義テーマ
「経済安保法制~全体像解説と
間近に迫る基幹インフラへの適用開始」

▶講師
前金融庁企画市場局総務課調査室課長補佐
あさひ法律事務所パートナー 山本陽介氏

第27回(2024年7月12日)
▶講義テーマ1
「令和5年度公正取引委員会の活動状況
~~九州事務所の活動を中心に」

▶講師
公正取引委員会九州事務所長 大矢一夫氏

▶講義テーマ2
「施行迫るフリーランス・事業者間取引適正化法」に関するガイダンス

▶講師
公正取引委員会事務総局取引部
フリーランス取引適正化室長 武田雅弘氏

第28回(2024年9月26日)
▶講義テーマ
「実効的な独占禁止法コンプライアンスプログラムの整備・運用のための
ガイド」(談合・カルテル防止に向けて)

▶講師
公正取引委員会事務総局経済取引局総務課長 小室尚彦氏

次回日程とテーマ
第29回福岡独禁法研究会
▶日時:2024年12月6日(金)15:00~17:00
▶場所:エルガーラホール7階会議室2
▶テーマ:「GX・脱炭素・グリーン社会と独占禁止法カルテル規制」
▶講師:平山法律事務所代表弁護士、筑波大学准教授、
九州大学非常勤講師 平山賢太郎氏

お知らせ

◆アドバイザーの平山先生が弁護士ランキング6位に

2022年末、日本経済新聞弁護士ランキング調査(独占禁止法分野)で、当研究会の立ち上げからアドバイザーとして支援いただいた平山賢太郎先生(平山法律事務所代表弁護士、筑波大学ビジネスサイエンス系准教授、前九州大学法学研究院准教授<現非常勤講師>)が総合(企業票+弁護士票)6位にランクインされた。
大手ローファームの著名弁護士がひしめく中で、若手の平山先生の躍進が注目されています。

九州関係の主な独禁法関連案件

●ふくおかフィナンシャルグループの親和銀行と十八銀行の統合(2020年)
●熊本県のバス5社共同経営(2021年)
●熊本産アサリの産地偽装(2022年)
●有明ノリの全量出荷問題(2022年)
●電力3社にカルテル課徴金通知(2022年)
●九州で相次ぐ優越的地位の濫用

▽ディスカウントストアが納入業者に従業員等の派遣や金銭を提供させた優越的地位の濫用行為に対し排除措置命令及び課徴金納付命令(2014年)
▽卸売業者が物流事業者に配送費等を支払う際、合意なく振込手数料相当額を差し引いて支払っていた(2019年)
▽業務用食品卸売業者が取引事業者にディナーショーチケット、お節料理等の購入を依頼(2021年)
▽ホームセンター業者が納入業者に店舗の改装開店に当たり従業員の派遣を要請し、改装開店に係わる作業を行わせた(2021年)

●九州の下請け法違反(「下請代金の減額の禁止」に当たるとして勧告)

▽スーパーが「基本リベート」、「達成リベート」、「EOS情報料」として下請代金から差し引きまたは支払わせていた(2014年)
▽弁当等の販売業者が「半期協賛金」等として下請代金から差し引いた。また販売終了を理由に下請事業者から受領した食材を返品した(2017年)
▽「割引利息」及び下請代金を下請け業者の口座に振り込む際に、自社が支払振込手数料を超える額を下請け代金の額から差し引いていた(2018年)

●国立病院機構発注の医薬品入札で九州の医薬品卸6社が談合(2021年)
●九州の自治体関連談合事件(梶原一義「日本型『談合』の研究」より)

▽福岡県川崎町・町長逮捕(2012年)
▽熊本県上天草市・前副市長逮捕(2012年)
▽佐賀県伊万里市・救急無線談合(2013年)
▽福岡県八女市・情報漏洩(2014年)
▽長崎県南島原市・市長逮捕(2014年)
▽福岡県鞍手町・町長逮捕(2015年)
▽長崎県波佐見町・情報漏洩(2015年)
▽大分県別府市・贈賄会社へ転職(2018年)
▽福岡県築上町・し尿処理談合(2019年)
▽長崎県波佐見町・情報漏洩(2019年)
▽宮崎県日南市・副市長逮捕(2020年)

お問い合わせ

福岡独禁法研究会に関するお問い合わせは下記までお願いします。

福岡独禁法研究会事務局

電話:092-400-4801
FAX:092-400-4802
Mail:kyushujoho-dsk@vega.ocn.ne.jp