金メダリストは我が同僚、報告会にマスコミ殺到
2012年9月24日

ロンドン・パラリンピックでゴールボール女子日本チームが金メダルを獲得した。迂闊にも金メダルを取るまで、視覚障害者によるゴールボールという競技のことは全く知らなかった。さらに、中国との決勝戦に臨んだ3人の選手が全て地元・福岡ゆかりの選手だったということも。

主将を務めた小宮正江選手(福岡市出身)と浦田理恵選手(熊本県南関町出身)は、アソウ・ヒューマニーセンター(本社・福岡市)が運営する障害者スポーツ選手雇用センター「シーズアスリート(C’s Athlete)」に所属、安達阿記子選手(八女市出身)はスポーツ教室を全国に展開するリーフラス(本社・福岡市)の社員だ。福岡は障害者スポーツ選手を支える先進地であることを示している。

パラリンピックの選手たちの帰国が始まったある日、当社とお付き合いのある調剤薬局大手の広報部から電話が入った。実は浦田選手が同社の社員なのだが、どんな対応をしたらいいかとの相談だった。同社は、「シーズアスリート」事業に協賛、浦田選手を社員として採用、アソウ・ヒューマニーセンターに出向させているという。社会貢献活動がたくまずして花開いたわけだ。社員にとっても同僚が金メダリストになった意外性と喜びは大きい。ならば、会社で報告会とお祝いの会を開催、マスコミにも取材してもらうよう勧めた。ニュースリリース配布の勘どころや会場設営も助言した。

PRの極意は、社会に発信したい情報を、広告ではなく、マスコミにニュースとして発信してもらう仕掛けだ。だから素材にニュース性が必須条件だ。この浦田選手の報告会は、「新奇性」「人間性」「国際性」「社会性」「地域性」とニュースの要素がたっぷりある。

浦田選手が出社した9月20日、本社のある天神のビルには、テレビ局4局、新聞社4社、通信社1社が取材に駆け付けた。おかげで、当日の新聞は夕刊の一面や社会面に、「みなさんの応援のおかげで金メダルを持って福岡に戻ってきました。仕事と競技の両立ができたからこその成果です」との浦田選手のあいさつと、金メダルを手に取り、浦田選手と記念撮影する社員たちのにこやかな写真が掲載された。また、各テレビ局もローカルニュースでさわやかな笑顔の浦田選手と社員たちの交歓を相次いで放映した。それらの映像の背景には、「感動をありがとう」との横断幕に同社の社名がはっきりと読み取れた。